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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第12章 It's all right. 1
自分のオフィスに戻ってきてデスクの椅子に身を投げるように座る。

何なんだよ。何なんだよ。何なんだよ!馬鹿野郎ッ!

ガンッと思いっきりデスクを蹴飛ばす。

涙が浮かんでくる。

社長の真意を探ろうと、ずっと観察していた。

仕草も言葉のニュアンスも。

でも、社長は俺を信頼していると言いながら。

俺の右腕だと言いながら。

俺に自身の真意を悟らせないよう、拒絶していた。

俺に悟られるであろうモノを一切合切見せなかった。

心を閉ざしているのだ。

俺が人の心の機微を読むのに長けているように。

社長もまた、自身が意識して自身を他人に気取らせない術を持っている。

初めてだった。あんな風に俺に気取らせないようにする社長は。

社長の心の内が分からなかったから、こんなに腹が立つのか

それとも拒絶されたから腹が立つのか。

ガァン!

スチール製のごみ箱を思いきり蹴り上げる。

ムカツク!
ムカツク!
ムカツク!


pppppppp

スマホの呼び出し音が鳴る。

レイの名前が表示されている。

スピーカーにして応答する。

「やぁ、レイ。」

「ね。桜井。今日そっちに行く用事が出来たから、

ついでに寄ろうかと思ってたんだけど、いいかしら。」

「ああ、今日は午後からなら調整してラストまでスケジュール開けれるぜ?」

サオリ!ほら、早くお風呂入んなさい!

と電話の向こうで怒鳴り声が聞こえる。

彼女は寝起きにお風呂タイプか。

「今10時でしょ。ううううううん。そうねじゃ、14時には行くから。」

「分かった。お待ち致しております。」

「何よ、そんなとこだけ丁寧に。」

と電話の向こうで笑う。

「ところで、朝比奈の体調どうなのよ?」

「あ、さっき出社してきたよ。」

ふう~ん と残念そうに鼻を鳴らす。

レイ、今なら俺もお前の気持ちに同調してやれるぜ。

「多分、社長は休んでた間の仕事片づけるだろうから、

 俺やパタンナーたちなんかとの打ち合わせになるよ。

 なんか社長に用がある?」

「ないわよ!むしろ、私の方はその方が好都合よ!」

ま、お前はそうだろな。

「好都合か?」「ええ!」

ひとつ息をつき、さっき決定事項となった事をいってやる。


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