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離島性体験 〜M男君〜
第3章 島の町の暮らし孤独、馴染めない、苦しみ。
厚いガラスに雨があたる音がしてカエルが鳴く音が静かな外の風景を思わせる。

あの夜、聞いていたラジオ。流れる音声ドラマのあやこはどうなったか思い出せない。ボーリングが天才的に上手かった玉城卓郎は高校一年生だった。

明代さん・・・そう思って卓郎は机の引き出しの中から一枚の手紙を取り出した。その手紙をみつめながら日本酒のグラスを飲み干した。

1986年10月10日 玉城卓郎 様

卓郎、元気にしてる?手紙の内容だと元気じゃなさそうだね。・・・・・


卓郎、悪いお知らせです。私たちがかけた天秤は卓郎を選びませんでした。私はあなたを待てないよ。私は自分の運命を受け入れる。

卓郎、あなたもそうして。短い私の最初で最後のわがままに付き合ってくれてありがとう。

たまには顔を見せろよ。ちゃんと食べろよ。部活も頑張れよ。また会いたいよ。私は親が決めた「好い人」その人のところにいるよ。さよなら・・卓郎。

明代より


古くなった手紙には水玉の染みた後が乾いて文字をにじませていた。乾いた黄土色、震えている文字、はっきりとわかるシワがよってる封筒。当時のまま大切に取ってあった。

卓郎は(明代さん)そう思いながら忘れかけてた過去を思い出していた。また純米吟醸酒 航をグラスに注いだ。




1986年10月、玉城卓郎は両親が眠るお墓の前で一人で拳を握っていた。案山子が指を指して立っている卓郎に呟く。「待ちぼうけ、一人で待ちぼうけ」

(なんで!!なんでだよ!!僕はなんでここにいるの?父さん!!母さん!!なんで僕は一人でここにいるの?誰か助けて。一人だ!!大好きなボーリングもない。ゲームセンターもない。大好きだったラジオも聞けない!!)

(帰りたかった場所もなくなったよ。明代さん・・・額に封筒を押し付けて僕は自分の運命を呪った。ただ立ち尽くして泣いていた)

「卓郎」

その声の主は祖母だった。辛いよな。そんな事を方言で言って卓郎の両手を握りしめる。その手には土の匂いがしてシワだらけだった。

明代の手紙で卓郎の中にあった我慢の糸は切れてしまった。もう自分を失ってしまった。
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