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離島性体験 〜M男君〜
第4章 父と母の一年忌
二礼二拍手一礼、音を立てない。榊を拝んで回して奉納する。父と母が亡くなって始めてに教わったことだ。

通夜、葬儀、告別式、火葬、十日祭、五十日祭、百日祭。これまで喪主を努めて卓郎は親族の前で泣くことなかった。その姿を見て泣く親族がいるほど気丈に振る舞った。

挨拶は先生が考えてくれた文章を毎回読んでいた。両家の親族が集まる法事は人数が多かった。

酔ったおじさんからよく聞かされる両親の駆け落ちの話。二人はこの町を出て行ったそうだ。

卓郎が産まれた時から親族と復縁して帰省するようになった。

「卓郎。ちょっと」

その声は違うクラスの女の子だった。

「あれ?なんでいるの?」

「遠い親戚なのよ。私とあなたは。血の繋がりはないんだけど親戚なんだって。幼稚園生の時に一緒に遊んだらしいよ。覚えてないけど」

「そうなんだ。僕も覚えてないや。ところでなに?」

「ふーん。来たばっかの時は近より難い感じで話かけるのも気後れしたけど最近はみんなの噂も悪くないよ」

「噂って?なに?」

「噂は噂よ。それよりこれからはよろしく。少しはみんなと仲良くしてよね。」

そう言って卓郎の元を離れて行った彼女の名前は翠(みどり)という女子高生だった。
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