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離島性体験 〜M男君〜
第2章 1986年に5月に起きた悲劇
「卓郎。戸締まりよろしく。ご飯は冷蔵庫ね。ちゃんと食べるように」

「卓郎、行ってくるからな。お土産楽しみに。明日には帰ってくる。」

1986年5月。

梅雨入りした頃だった。両親は同時に玉城卓郎の前から消えた。いや卓郎が消した・・・




卓郎はコンビニより安くて気前のいいおでん屋さんでおでんを買って一人で歩きながラジオを聞いていた。

(あやこは自分の足と義足で動き始めた。呼吸を止めた唇がスタートの合図を待ってる。途切れない厚い糸が吐いた呼吸を忘れるほど長い。空気、感じてたのは耳から聞こえる音と空気の音。目を閉じて開けるとその音がなる。その瞬間、切り裂く。糸も空気も音も切り裂きながら体全体で切り裂いていく。前だ!!前だけ向け!!あの人の声が頭から離れない。消えない。あの人の声が消えない。)

卓郎は大好きラジオの音声ドラマを聞いていた。行きつけのボーリング場、ゲームセンター、ふらふらと歩き回っていた。

「雨だ、帰ろう」



卓郎はテレビを独占できる喜びとお菓子を散らかしながら食べても文句は言われない。

母親が作ったご飯は好きなものだけ食べて後は、ごめんなさいっていいながら生ゴミ行きにしていた。

そのくせ沸騰したお湯がカップヌードルに注がれていた。

「母ちゃんも父ちゃんもいないからやりたい放題。掃除しないと怒られるよなぁ。でも明日は朝からボーリングにいかなきゃ」

窓の外から聞こえる雨の音は強く大粒でさわがしかった。

「雨、強いなぁ」

そう呟きながら卓郎はアイスクリームを開けるところだった。
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