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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第3章 【秘密裏な罠と罰】





「何してたんだよ、今」




「え……リンゴ剥いて、食べさせて……傷口見てました」




「天然タラシかよ」




「え…?何て…っ」




「お前が何でアイツの女みたいになってんだよ」と強く抱き寄せられる。




「え、何かの間違いですよ」




「そんな事わかってる…!とにかく変な噂立てられてんじゃねぇよ、わかったな?」




「は、はい……」




キッと睨まれて優しく頬を抓られた。
な、何だろう……このサラッと見せる独占欲。
天然タラシって堤さんの方じゃん。
ほのかに香る煙草の匂い。
安心する。




「紗衣、お前……」




何か言いかけたところで通りかかった看護師さんに「もう終わりましたので戻られて大丈夫ですよ〜」と声をかけられた。
ポンと頭を撫でられ堤さんも行ってしまった。




それからその会話が蒸し返される事はなかったし私も聞かなかった。
やっと退院日が決まってホッとしていたのも束の間。
出勤日前に立ち寄り、堤さんは朝だけ来てくれてすぐに帰ったと聞いた。




「良かったね、退院しても通院だからあまり無理は出来ないけど堤さんとご飯とか食べに行こうね」




「それって2人じゃダメですか?」




あ……ヤバ。
普通にいつもようにベットに腰掛けちゃって距離も近い。
これがタラシってやつなら今更気付いても遅い……遅い?




距離のとり方間違えた。
えっと、どう断れば角が立たずに済むのだろう。




「あの、堤さんと2人って訳じゃなくて、リリカさんと」




わかってる……やっぱりそういう意味だよね。
天然タラシになりきるしかない。




「私と?うん……でも私キャストだし……顔出ししてないけどバレるとマズイよね?そこは2人じゃなくて複数の方が良くない?」




「ですよね?すみません」




「ううん、すっごく高いの堤さんにゴチになろうよ、何が食べたい?」




「えっと……やっぱ……」




「お寿司!」
「ステーキ!」




せーので言った訳じゃないけど同時に言い合って笑う。
やっぱ男の子はお肉か。
携帯で検索してどのお店にしようか2人で見てた。
此処はダメ……此処はキープ……とかそれはそれは楽しそうに。




そしたら突然メッセージが来て。




(今夜、行くから)









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