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第1章 1

私は生まれてこの方、常に完璧を目指してきた。
勉強でも、スポーツでも、容姿でも、
なんでも1番でないと気が済まなかった。

親や先生の言うことが絶対だった。
誰よりもいい子だったし、そうでなければいけないと思っていた。

大学に入ってすぐに彼氏ができた。
優しくて、かっこよくて、理想の彼氏だった。
そんな私たちのことを、誰もが羨んだ。

大学一年生の冬だった。
学部の飲み会でたまたま隣になった男は、見たことはあるけれども、一度も話したこともない、名前も知らない男だった。無口で、一人でいるところしか見たことがないような男だった。

誰の前でも明るく振る舞うようにしていた私は、その人の前で、

「初めまして！だよね？」

とおどけて話しかけてみた。
するとその人はしばらく私の顔をじっと見た。
なんだか瞳の奥を覗かれているみたいで、私の笑顔が限界に近づいた頃に、

「どうしてそんなに無理してるの？」

と私に言った。

私は恥ずかしさと怒りで顔が真っ赤になった。
どうして初めて話す相手にそんなことを言うのか、
その男の無神経さがわからなかった。

無理などしてない。
これが私で、これが私の生き方だった。