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本当の私の見つけ方
第1章 1
大学2年生になってしばらくした頃、付き合っていた彼氏と別れた。
原因は、彼氏の浮気だった。
人生で初めて味わう挫折だった。
周りの人はたくさん慰めてくれた。
でも、私の心にはぽっかりと穴が開いてしまったままだった。
彼と付き合っている私が誇りだった。それがなくなってしまった今、自分の存在価値がないように思えた。
そんなとき、ふと思い出したのは、あのとき男の言った一言だった。
「どうしてそんなに無理をしてるの?」
無理をしている?私が?
そんなことない。でもその一言を思い返すたびに屈辱の中に仄かな安心感を感じた。
私はその男を探した。
彼を見かけるのは大抵図書館の、隅の方の席で、読書に耽っている姿だった。
案の定その日も、同じように本に没頭していた。
私はその男に近づくと、静かに一言、
「話がある」
と告げた。
駅前の喫茶店に場所を移した。
日中でもそこまで人が多くない店だった。
そこで彼はコーヒーを注文すると、話って何?と切り出した。
私は、なんで切り出そうかとしばらく迷ってから、
「あなたが、あの時、私が無理をしてるって言ったことなんだけど。」
と言うと、その人は、あぁ、と小さく言ってから、
「そのことをまだ怒ってるんだ?」
と言った。
違う、怒ってないし、謝って欲しいわけでもない。
私は知りたかった。どうして私が無理していると思ったのか。
そして、私はどうしたらいいのか。
そう伝えると、彼はにっこり笑ってから、
もし知りたかったら、また連絡して。
と、電話番号を書いて私に渡してきた。
原因は、彼氏の浮気だった。
人生で初めて味わう挫折だった。
周りの人はたくさん慰めてくれた。
でも、私の心にはぽっかりと穴が開いてしまったままだった。
彼と付き合っている私が誇りだった。それがなくなってしまった今、自分の存在価値がないように思えた。
そんなとき、ふと思い出したのは、あのとき男の言った一言だった。
「どうしてそんなに無理をしてるの?」
無理をしている?私が?
そんなことない。でもその一言を思い返すたびに屈辱の中に仄かな安心感を感じた。
私はその男を探した。
彼を見かけるのは大抵図書館の、隅の方の席で、読書に耽っている姿だった。
案の定その日も、同じように本に没頭していた。
私はその男に近づくと、静かに一言、
「話がある」
と告げた。
駅前の喫茶店に場所を移した。
日中でもそこまで人が多くない店だった。
そこで彼はコーヒーを注文すると、話って何?と切り出した。
私は、なんで切り出そうかとしばらく迷ってから、
「あなたが、あの時、私が無理をしてるって言ったことなんだけど。」
と言うと、その人は、あぁ、と小さく言ってから、
「そのことをまだ怒ってるんだ?」
と言った。
違う、怒ってないし、謝って欲しいわけでもない。
私は知りたかった。どうして私が無理していると思ったのか。
そして、私はどうしたらいいのか。
そう伝えると、彼はにっこり笑ってから、
もし知りたかったら、また連絡して。
と、電話番号を書いて私に渡してきた。