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Kiss Again and Again
第9章 高梨さん

 海は卒業し わたしは3年生になった。
 海は 新社会人が過ごす忙しさを 軽やかにこなしていた。
 そして時間ができると 週に一度くらいの割合で 「今日 行ってもいい?」とラインがきた。

 仕事帰りに寄った海のスーツ姿を初めて見た時。 その完璧さに 胸が轟いた。

 ほどよく広い肩幅も 厚すぎない胸板も 長い膝下も スーツ姿はかくあるべき、というお手本のようだった。

 それなのに 上着のボタンをはずし ネクタイをゆるめると 完璧以上になった。 色気という芳香で 誘惑の触手を揺らめかせ 「この男は信用できない」と思わせているようだった。 そういう雰囲気を好む女が結構いることは わたしにもわかってきていた。


 急に減った講義数に戸惑い 寂しさと向かい合わなくてすむよう忙しさを手にいれるために わたしは 家庭教師のアルバイトを再開した。

 一度 親御さんから相談事を持ちかけられ 帰宅が遅くなったことがあった。 

 海は 8時くらいには マンションに着くと言っていた。 7時半には帰宅しているつもりだった。 小走りにエントランスに入ると オートロックのところに スマホをチェックする海が立っていた。
 「ごめんなさい。 遅くなってしまって」
 「大丈夫だよ。 そんなに待っていないから。 走ってきたの?」

 優しい言い方に 仕事で疲れているのに、と 心が痛んだ。

 部屋に入り 上着を脱いでくつろごうとしている海に
 「鍵 持っていた方が いいですか?」

 ・・・ わたしと もっと 一緒にいてくれますか?

 「そうだね・・・ どっちでもいいよ」

 わたしの鍵を持っているのは 困りますか?

 「使わないかもしれないけど あったら便利かな?」

 わたしが見ている前で 渡した鍵を 海は自分の鍵と一緒にキィホルダーに付けた。
 ふたつの鍵をみて わけのわからないものに 心が ガクガクと揺さぶられた。

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