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Kiss Again and Again
第15章 クリスマス後
それから 夜 厨房を訪ねることはしなくなった。
わたしを必要としていない世界を わざわざ訪ねることはできない。
未来と 必要性と 夢が輝く世界。
「就活があるから」
傷つかないためなら わたしは嘘だってつける。
細やかな砂地に 沈み込み 脚をとられて よろける・・・ 見おろすと 足首まで 砂の中に 埋もれている。 抱きとめられる。 めくるめくような抱擁に 助けを求めるためか その腕にすがりつく。
樹さん・・・ 樹さん・・・ たつき・・・ さん・・・
夢をみた。
どこかを 彷徨っていた。
果てしなく広がる砂地。
歩き回っているはずなのに 足跡が ひとつもない。
気持ちが深くならなければ こんなに苦しくなかったのに。
少し好きになっただけで 踏みとどまることができればよかったのに。