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Kiss Again and Again
第18章 再 会
「いや・・・ わざとかもしれない。 気が強い子だから 自分が信じたくないことはなかったことにしてしまう。 ただ・・・ 争ったり 説得したりして 取り戻す気力はなくて」
「それは あゆが離れてゆく予兆のように思えた」
紅いバラの花びらを 湯船に投げ込むわたしを ただ 見つめていた海の 哀しげな顔を思い出す。
「これは あゆには 全然似合っていなかった・・・」
海は イヤリングを ゴミ箱に放り投げた。
こん。。。
「あっ・・・」
わたしを見つめる海の顔には なんの表情もない。
「あの日・・・ あの日 あゆの部屋から追い出された後 一度 戻ったんだ。 口実は 荷物を忘れたとか もう少し話がしたいとか なんでもよかった。 もう一度 あゆを抱きしめたかった。 もう一度 話し合いたかった。 どうにか 取り戻せるんじゃあないか、 やり直せるんじゃないか、とか 都合よく 考えて」
「マンションの前で あゆからもらった鍵を使おうか どうしょうか迷っていた。
そうしたら あゆが出てきて・・・ 服を着替えていたよね。 背の高い男が待っている車に乗るのを見た。 僕には気づきもしないで。
その男は 多分 空港の男だったんじゃあないかな。 でも その時は 接し方とかみて 特別な関係だとは思えなかった。 もしかしたら そう思いたかっただけかもしれないけど。
ただ それを見たら あゆは もう戻ってこないとわかった。 僕から 離れることを選んだと わかった。
こたえたよ・・・
それなのに 時間がたつと やっぱり諦めきれなくなって。 もらった鍵を使って 部屋で待っていた。 靴を見たから? あゆは 部屋にも入らず出て行った。 終電まで待っていんだけど もどってこなかった。
もう何をやっても駄目なんじゃあないかと・・・すっかり 打ちのめされた。
だから 連絡はしなかった。 決して あゆのことを諦めたわけじゃあない」