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Kiss Again and Again
第19章 恋愛事情
なんとなくゴミ箱のネクタイを拾い上げた。
シャネル、とある。 汚れているわけではないし・・・ 誰かからのプレゼントだった? またゴミ箱に戻した。
エントランスで見たときより 帰る姿のほうが頼りなげだった。
一週間休んだ後 莉央ちゃんは やたら親切で打ち解けてくれるようになった。 わたし達は 名前で呼び合うようになり 社内の噂話を楽しんだりして 秘密を共有し合うようになった。
「あゆは 付き合っている人がいるの?」
「ううん。 いない」
「じゃあ 飲み会 行く? もう身体は大丈夫なんでしょう?」
そういうのは なんとなく苦手。 でも 社会人になったら それを貫き通すことは難しい。
「はぁぁぁん。 あまり好きじゃあないのね、そういうの」
「知らない人と いきなりどんな話をしていいのか わからなくて」
「相手の話を聞いてりゃいいのよ、にこにこして。 そうすればどうにかなるものよ」
どうにかなったら 楽しいの?
「まあ 手始めに 課の飲み会に参加しよう。 ゴールデンフライデーということで。 案外 知っているようで知らないことに出会えて 仕事 やりやすくなるかもよ」
そうよね。 会社の中だけでは 人間関係が薄っぺらかもしれない。
金曜日は 課の飲み会に参加して 名前は知っているけど話したことはない人達と笑い合ったりした。 二次会はカラオケ、というのには驚いたけど 意味のない会話が飛び交うのも 結構気がまぎれてよかった。
明日は休日、というのも 開放感に拍車をかけるのかもしれない。
わたしも引っ張り出されて 同期の男の人とデュエットした。 お酒が入っているからできる醜態。