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Kiss Again and Again
第19章 恋愛事情
「この花は なんていうの?」
「アルストロメリア」
「難しい名前だね。 もう少し優しげな名前の花かと思った」
海は 必ず生けてある花の名前を聞く。 以前は それも聞き流していたけれど もしかして わたしの”すき”と 少しでも関わろうとしてくれていた?
別れた後も 友人として付き合っていける人たちもいる。
ふぅっ、と まだ絆創膏を貼っている海の手に 手を重ねたいような気がした。 わたしこそ 許しを請うべきなんじゃあ・・・
「じゃあ・・・ そろそろ・・・ Yシャツ ありがとう。 新しいのを着て帰るよ」
「車 新しくされたのね。 運転しやすいですか?」
ビールくさい上着に袖を通していた海が とまる。
「わたしでも 運転できますか?」
「僕が 隣にいれば」
「じゃあ 隣で 練習に付き合っていただけますか?」
何か言うと わたしの気が変わってしまうのではないかのように 海は言いかけた言葉を飲み込んだ。
「ドライブ日和だから」
「着替えてきます。 りんご 食べてください」
間違っているのかもしれない。
でも 間違いを責める人はいない。 自分以外には。