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Kiss Again and Again
第19章 恋愛事情
お洗濯物を干し終わると 電話が鳴っているのに気がついた。 海だ。
迷う。 迷っているうちに 鳴り止んだ。
履歴をみると 不在着信が3件。 すべて海からだ。
がらん、とした 殺風景な部屋。 こんな仕打ちをしてはいけない、と 心が痛む。
そして わたしは この人のこと キライじゃあない。
今回のことでわかった。 海は 男としてはクズかもしれない。 でも あんなに美しいのに それを鼻にかけるようなことは一度もしたことがない。 人として親切だった。 思いやりがあるのも知っている。 努力家で学ぶ、ということに熱心だった。 乱暴な面は見たことがないし 優しかった。 優しいフリだと 自分に言い聞かせてきたけれど 本当に優しかった。
それなのに あんな部屋に住んでいる。
空っぽの部屋だった。
なぜ そんなことを選んだの?
「海? 電話に出れなくてごめんなさい」
「あゆ・・・ 出てくれないかと・・・」
「バルコニーにいたから」
「そっちに向かっているんだよ。 秋を 見に行かない?」
キライになれない。
「どこへ?」
「高速道路を使えれば どこへでも」
「今 どこですか?」
「あと20分位で あゆのマンションに着くよ」
「じゃあ 下に降りて 待っています」
「待っててくれるの?」
いつも 海の方が 待っていてくれた。
「はい。 待っています」
わたしは 馬鹿だ。 でも 今はこうしたい。