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Kiss Again and Again
第19章 恋愛事情
しばらく運転すると フロントガラスに ぽつぽつ雨粒がぶつかってきた。
「雨だね。 ひどくなるかもしれない。 せっかくのご要望だったけど 運転代わろうか?」
「よろこんで」
海は ナビでガソリンスタンドを検索した。
「ちょっと遠回りになるけど 一番近いスタンドに寄って行きたいな」
山道に入ると 急に雨脚が強くなった。
「夕陽まで あそこにいなくて正解だったね。 山間部のお天気は きまぐれだから」
ワイパーの動きを見ていると 眠くなってきた。 でも 何度も「寝ません」宣言をしたせいで 「眠ってなるものか」と 頑張って起きていた。
雨のせいで 急に暗くなった。 信号待ちで停まっていると 窓ガラスを叩く人がいた。 地元の人だろうか。 レインコートを着て傘をさしている。
「もしかして 真っ直ぐ山道に入るつもりですか?」
「はい。 東京へ帰るので」
「この前の大雨で地盤が緩くなっているから 多分通行止めになっていますよ」
「そうなんですか?」
「今来た道を 戻った方がいい」
「・・・ありがとうございます」
海と 顔を見合わせた。
「どーしますか?」
「うーーーん。 むずかしいなぁ・・・戻ると ガソリンスタンドが遠くなる。 次のスタンドまでがぎりぎりかも」
「そうなんですか・・・ こんな知らないところで立ち往生は 嫌ですよね」
「でも 日本語は通じるんだから どうにかなるよ」
日本語が通じるくらいでは どうにもならないこともあるでしょう?
海が わたしを不安にさせないようにしてくれるのはわかるけど。