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Kiss Again and Again
第20章 初 冬
ホテルのバスローブをまとい 濡れた髪をバスタオルで擦りながら
「お待たせ。 あゆも入ってくるといいよ」
昔 海が お風呂上りに髪の毛をごしごし擦るのを見るのが 好きだった。 無防備に寛いでいる感じが 色っぽくて 好きだった。
「湯船に浸からなかったの?」
「うん。 あゆが早く入りたいかと思って」
「気を遣っていただいて ありがとうございます。 でも 見ないでね。 やっぱりシルエット以上のものが見えるから」
「あゆは ずぅっと見てたくせに。 僕はだめなの?」
「はい。 だめです」
「正直に言います。 約束できません」
だから この人に近づいてはいけなかったのだ。
でも 初めての人に対してとは違う。 間単に諦めることができる。 以前 身体が繋がっていたことがあるせいかもしれない。
ガラス越しの海は ベッドに腰かけ ビールを飲みながら こっちを見ている。 わたしのご要望など 気にも留めていないらしい。 観念した。
できるだけ背中を向けてシャワーを済ませ 身体と髪を洗って 湯船に浸かった。 首を捻ると まだ同じ姿勢でこちらを見ている。 紳士ぶるつもりはないらしい。
迷ったけど 洗面台で下着を手洗いした。 しっかり絞り タオルに包んで できるだけ水分を吸わせた。 願わくば 明日までに乾いていますように。