この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Kiss Again and Again
第20章 初 冬
わたしとそれほど歳が違わない人が 大きな人生の転機を乗り越えることに 感動すらおぼえる。
樹さんは フランス行きを決めたとき どんなだったのだろう・・・ 誰にも相談せず 誰にも引きとめられず・・・
「あゆ 富士山に心残りはない?」
山は 一切のまやかしもなく 堂々として美しい。
「はい。 もう充分です」
高速道路は 首都高に入るまでわたしが運転した。
マンションまで送ってもらい 車を降りると
「じゃあ また」
また・・・?
わたしも片手をあげ 海の車を見送った。 車を見送るのは 本当に嫌。
一晩留守をしても 何も変っていない部屋を見回し 海の電話番号を着拒にし、ラインはブロックした。
これで元通り、というわけにはいかないけど。 もう近づかないことはできる。