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女流作家~君を愛すればこそ~
第9章 新しい愛の形

桐子はトーストを頬張りながら
イタリアの取材旅行の思い出話を話題に出した。

会話に乗ってくると思った節子は
「そうね…」と相づちを打つだけで
全く会話が弾まない。

もしかしたら、
すでに節子は仕事モードに
切り替えているのかと感じた。

「どうだい?僕の作ったベーコンエッグは?」

晃は対面に座った節子の目を見て
楽しそうに語りかけた。

「ええ、とても美味しいわ
先生は幸せですね、
こんな素敵な旦那様がいて…」

文字にすれば何て事はないのだけれど
そのニュアンスは『あなた、朝食も作れないの?
女として失格ね』と
桐子を見下す雰囲気を醸し出した。

『何よ!』

桐子はカチンと来たけれども
あえてなにも言わずに
「ごちそうさま」と席を立った。

「あれ?もういいのかい?
君が朝食を残すなんて…
もしかして体調が悪い?」

「ううん、そんなことはないわ
次回作の構想を練るから
書斎に閉じ籠らせていただきますね…
節子さん、アドバイスを貰いたいから
付き合ってもらえる?」

もしかして節子は桐子と二人っきりになって
レズプレイをしたがっているのだろうと思った。

書斎で二人っきりになれば
また気持ちいい事をしてもらえると期待した。

「おいおい、
いつまでも節子さんを束縛しちゃいけないよ、
彼女だって疲れているんだ
今日ぐらい彼女に
プライベートタイムを与えてあげなよ」

晃の言葉に、てっきり桐子は節子が
「いえ、私は大丈夫です
先生がお望みならお付き合いします」と言ってくれるものだと思っていたのだが、

「そうね…何だか疲れちゃったかな?
晃さん、悪いけど自宅まで送ってくださる?」と
晃に甘えたのだった。

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