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キャンバスの華
第6章 銭湯の主人と女将

一方、浴室では…

「さあさ、服を脱いでこの脱衣カゴに入れなさい」

旦那は華の気が変わらぬうちに
裸にしたくてウズウズしていた。

「あの・・・湯浴み着を
貸していただけないでしょうか?」

「はあ?うちは近代的な風呂屋だよ。
そんなもんを着て湯に入るなんざ、
ちゃんちゃらおかしいやね」

じゃあ、せめて一人っきりに
させていただけないでしょうかと華が懇願すると

「あのなあ、俺は風呂屋だぜ?
番台に座るんだぜ?
女の裸なんざ、見てもなにも思わないさ
あんただってそうだろ?
裸の男のモデルで絵を描くときに
へんな気持ちでモデルの体を
見るわけじゃないんだろ?」

そう言われてみればそうだ。

男の言い分には妙な説得力があった。

仕方なく男に背を向けて衣服を脱ぐと
男の視線から逃れるように急いで浴室へ向かった。


男は華が浴室に消えるのを見届けると、
華の脱いだ衣服を手にとった。

『ほほう・・
これが洋風の下着というやつかい・・・』

男はズロースを顔面に押し付け、
股間部分の匂いを
スースーと音をたてて嗅ぎ取った。


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