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シャイニーストッキング
第3章 黒いストッキングの女2 美冴
 54 氷解の時

 今まで必死に抑え込んできたこの想いはもう止められない、私は目を閉じ、心を落ち着かせようとする。

 ドキ、ドキ、ドキ、ドキ

   あ…

 しかしダメであった。
 
 目を閉じると佐々木課長のあの綺麗な顔が、あの不惑の目が浮かんでしまい、高鳴っている胸の鼓動と、心の騒めきが相まってしまい更に苦しくなってきてしまうのだ。

 ダメだ、無理だ
 とても仕事などできやしない、迷惑は承知だが休もう…

 それにもし、この衝動を抑え切れないでいるこの状態で、佐々木課長の顔を見たら心の揺らぎでどうにかなってしまいそうであった。

 私は終点の渋谷駅の改札を出て、公衆電話ボックスに入る。
 そして体調不良で休む旨を伝え、駅の南口に向かって歩いていく。
 だが、この心の動揺で歩くのが辛く、精一杯の状態であった。
 そしてここ渋谷駅周辺は夏休みということもあり、若者達でごった返していたのだ。

 ああ、ダメだ、この人混みが耐えられないわ…

 フラフラと人混みを避けながら、なんとかタクシー乗り場へとたどり着き、私はタクシーに乗った。
 
 あそこに行かねば…

 思い出の最終点の場所へと向かう。

 昨日まではこの人混みに流されることが心を平らげてくれていたのに…

 封印が解けかけてきている今、この人混みは逆に苦しくなってしまう。
 そして、徐々に、心が壊れかけていたあの時の不安定な想いに似てきていた。

 胸のドキドキが、また、ザワザワへと変わっていく。

 早く、早く、あそこに行かねば、また私は壊れてしまうかも…

 あの時、もしこの時が、心の封印を解ける時が来るならば、その時はまたあそこに行くと決めていた。
 それに封印が解けることが出来るということは、何かが変わるということなのだと、あの時、最後の理性がそう言い残していたのだ。
 そしてその時に本当の意味での訣別をすると。

 でも、まさか、この時が来るなんてあの時は思いもしなかった
 私はこのまま逝ってしまうのだと思っていた
 本当に何かが変わったのか…

  タクシーの後部座席に身をもたれ、目を閉じて、彼を、あの男を思い浮かべていく。

 もういいの

 もういいのね

 ゆうじ…

 私の愛した男

 私をここまで壊した男

 ゆうじ…


 第3章 黒いストッキングの女2 美冴 完




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