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第20章 もつれるストッキング4　　　　　律子とゆかり

　69　ほぼ完成…

「うわぁっ、もうコレっ、ほぼ完成に近いじゃないですかぁっ」
　システム情報部の部屋の一番奥に鎮座するSEの中島さんのパソコンの画面を覗き、越前屋さんがそんな感嘆の声を上げたのだ。

「えっ、ああっ、これでぇ後はぁ、コールセンターの電話コントロールのシステムとリンクすればぁ…」
　と、更に越前屋さんはマウスをクリニックしながらモニターを覗き、そう呟き、そして顔を上げてわたしと美冴さんを見て…
「細かい修正はこれからシュミレートが必要ですけどぉ…
　アウトラインはほぼ完成ですぅっ」
　今度は感嘆ではなく、まるで悲鳴の如くの声音で興奮気味に小さく叫んだのだ。

「ええっ、そうなのっ」
　と、そんな越前屋さんの感嘆と興奮の言葉にわたしも一気にテンションが上がり、つい、そう驚きの声を漏らしてしまう。

「はい、そうですぅ」
　そう強く頷く越前屋さんの隣で、SEの中島さんは対照的に冷静な表情で頷き…

「はい、蒼井さんのプログラムが既にクラウド上での…………で…………で、比較的スムーズに進められたんです……」
　と、わたしには理解不能な単語をいくつか並べながら冷静に中島さんは話してくる。

「え、そ、そうなんだ…」
　美冴さんもほぼ理解できていないであろう、曖昧な頷きと返事を応え…
「あ、元夫が作ったモノだから……」
　そしてそう更に曖昧に言葉を返す。

「もぉ、とにかくぅ、ほぼ完成に近くてぇ、この新プロジェクト企画が一気に進められますからぁ」