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シャイニーストッキング
第21章 もつれるストッキング5   美冴
 112 愛してる…(3)

「み、みさえ……あ、愛してる………」
 唇から逃れ、腕を振りほどきベッド脇へとカラダをズラしたわたしに対し…
 彼はそう囁きながら、腕を伸ばしてきた。

 だが、わたしは、更にカラダをズラし、逃げ…
「ば、バカなんじゃないのっ」
 そう、冷たい声音で…
 いや、今にも崩れ堕ちそうな心の揺らぎの想いを必死に奮い立て、敢えて冷静に、そして強い口調で抗いの言葉を吐いたのだ。

 だって、また、抱きしめられたならば…
 この愛は破滅的な扇情の愛だと分かっているから……
 わたしは瞬く間に融け堕ち、もう二度と抗えなくなってしまうだろうから。
 
「え?」
 すると彼は、このわたしの様子を察し、動揺を見せる。

「ば、バカなんじゃないのっ………馬鹿」
 わたしは繰り返し、伸ばしてきた手を振り払い、彼を見つめる。

「あ、そ、そんな、バカって?」
 彼の目が揺らぐ…
 
「じゃぁ、愛してるって、なに?…」
「え…」
「だからぁ、わたしを愛してるって、なに?」

「あ、いや、そ、それは…………」
 目が泳ぎ、返す言葉に窮する。

「だから、なに?」
「あ…い、いや……」
 下を向く。

「ふぅぅ…だから……馬鹿って言ってるのよ」
「え、あ?」
 意味がわからないみたい…
 いや、わかるはずがない…
 ううん違う…
 本当は分かっているはずだ。
 
「本当に分からないの?…」
「あ……う、い……いや、それは………」

「……………」
 わたしは黙って彼を見つめる。

 うん、本当は、分かっている…
 だけど…
 認めてしまったら…
 現実の重さに、二人とも、一気に押し潰されてしまうから…
 全てが壊れてしまうから…
 彼は、それも分かっている。

「……………」
 だから彼は、こうして下を向き…
 自らは、逃げようとしている。

 だって、こうした、わたしも、彼も…
 心が…
 カラダが…
 ぐちゃぐちゃ………だから。

 そして彼は…
 どうしてよいかも分からくなっているから。

 それは、彼の…
 いや、オトコのズルさ…
 
 どちらも本当で…

 どちらも嘘だった………。




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