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胡蝶の夢
第8章  夢 





僕はまだ復讐を果たせていない。


あの時だって圭の仇と呪ったのに。


今だってそうだ。


僕はこいつが憎くて堪らないのに。


黒崎家の跡取りとしての地位も何もかも、圭のものだったものを全て奪ってこいつは生きている。


圭の事を喰らってこいつは生きている。



「……鬼、お前は鬼だ…」



つい、口にしていた。



「何もかも全部奪っていく……」



「そうだな…、俺は鬼だ」



逆上して叩かれるのではないかと思っていた。


けれど、黒崎は簡単に肯定した。


瞳が複雑な色に揺れ、やがて再び僕をとらえた。



「狂った鬼のする事だ、黙って受け入れろよ…」



ぐずっ…


黒崎が腰を入れて奥に押し入る。



「うぅっ…」



僕は小さく呻いた。









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