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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人



「あさひ。……あさひ」

「さつ、き、さん……」


 恋人同士を気取ったような口づけを交わして、鼻先にも頬にも彼女の唇を感じて、失くしたくないと身に染みる。


「痛がらせないって言ったけど、……痛むことするよ」

「どきどき、します……」

「マジなマゾだな」


 まるで恋人の欠点を咎める言葉つきで、彩月があさひの髪を撫でた。


「ああっ……!きっ、つ……ァ"ッ……ちょっと待っ──…」

「さすがに締めつけ良すぎるか……」

「ンンッ!」



 それまでとは比にならない直径を咥えた潤みは、あさひの呼吸を僅かに窄めた。

 凹凸の格差に僅かな不安を覚えたのは、一瞬だった。彩月の手首まで飲み込んだ蜜壺は、やがて異物感まで刺戟として受け入れた。内側を泳ぐ指に背中が仰け反る。切ない悲鳴が喉を突き上げる。
 指だけでは処女膜が失われない場合もあるのだという。それでなくてもくだらない玩具や巨根があさひを拡張する前に、という彩月のささめきがどこまで本心か分からないにしても、あさひは夢でも見ているのかと疑る。本当はとっくに就寝していながら、こうしたことを望むあまり、鮮明な夢に迷い込んだのかも知れない。



 夢ではなかったのだと確信したのは、今度こそ眠りに就いたからだ。

 育江や佳子の友人達と違って、あさひの愛液をティッシュに拭わず全て嚥下した彩月の腕に抱かれて、眠るのを惜しみながら目蓋を閉じた。

 眠る間際の口づけは、あさひ自身の匂いがした。
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