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狂愛の巣窟
第10章 【狂愛の巣窟ー最終章Ⅱー】
優しいキスの後。
「1つだけ、約束して欲しい事がある」
「はい」
どんな内容でも受け入れる覚悟でした。
もう二度とその愛に触れられないのならせめて最後は綺麗に終わらせなければ…と自分に言い聞かせた。
しかし、涙は止まりません。
事の重大さに今更気付いても遅いのに。
自分の浅はかさに目眩がしそう。
「これからも十和子は俺の妻であり、その関係は絶つ事はない……永遠に」
「え?」と顔を上げる。
別れ話だと思っていたから。
どんな仕打ちでも受ける覚悟だったし、出て行くつもりでも居た。
皆の前で壊されると思っていたのに。
「十和子も誓える?ずっと俺と一緒に居るって……どちらが最期看取るまで」
溢れる涙が跡を絶たない。
良いの…?本当に…?
許して欲しいなんて言わない。
一生添い遂げる……誓うわ。
声にならなくて頷くしか出来なかった。
「良かった……ありがとう」
優しく髪を撫でられ思わず抱きついて声を上げて泣いた。
まるで親に諭された小さな子供のように。
「ごめんね、騙すような事して……最初から知ってた、十和子は綺麗だからたくさん男から声が掛かるのは目に見えてるさ、最初は嫉妬に狂いそうになった、縛りつけて閉じ込めたくもなった、けど、親父や兄貴に犯される十和子を見て……俺は、怒りどころか誰より興奮してたんだ」
享さんの告白に一同驚愕しただろう。
「一颯もいつしか理想の母親像から一人の女性として十和子を見るようになったのも納得がいく……近親相姦にさえ興奮は止まらなかった……あんな淫らに抱かれた後でも変わらず十和子は俺を愛してくれたね……それが一番嬉しかった、どんなに抱き潰しても今日も他の誰かに抱かれているのかと考えただけで勃起してたよ」
私たちは…………僕たちは…………
愛し方を間違えているのだろうか。
一体いつから歪んでいったの?
掛け違えた愛のひとつひとつを手繰り寄せ共に生きる事は許される事なの?
「享さん……うぅ……お願い、怒ってよ……罵って、お前なんか要らないって言ってよ…」
「ごめん、嘘でも言えない、十和子の事手放したくないって最後の足掻きだよ、みっともなくてごめん」