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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第4章  ~遠征~

 季節は春、白んだ夜明けの光のなかサクナは朦朧としていた意識を取り戻す。

「おはよサク」

「ん……おはよ、ルカ」

 ひんやりとまだ肌寒い空気が漂う部屋、互いの肌が心地良く上掛けの中でルカはサクナを抱き寄せ横たわり寝起きのサクナを見つめる。

「ルカ……」

 サクナは寂しげに声を洩らしルカにしがみつく。

 本日よりルカは地方に遠征にゆく。

 コスモ国とリキマシア国の国境にいるルカの叔父の話しによると、最近コスモ国が不穏な動きを見せているようだ。視察を兼ねてルカはその地へゆく。

 特殊な力を持たないコスモ国は、星のエネルギーを利用した独自の兵器を開発している。

 ふた国は和平を結んでいて戦争になる事はないと思うが、星をわける大国なだけに懸念してしまう。

「寂しい?」

「…………それもあるけど、無理しないでね」

「だいじょうぶ、俺よりサクのほうが心配」

「私? 私はだいじょうぶよ? ヴァミンも最近は出ないし」

「ヴァミンより人のほうが残酷だからな、俺が居ないと良からぬことを企む奴も居るかもしれない、サクは俺の弱味だからな」

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