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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章  ~初めての恋は甘くて切ない味~

「おはようございます陛下」

 朝の爽やかな風のように補佐官のミモリは陛下に微笑み挨拶をする。隣にいるサクナなど目に入らないかのようにルカの瞳を見つめていた。

「陛下、わたしも一緒に父に会いに行きたいのですが、舞踏会の準備も御座いますのでよろしく伝えて下さい」

「ああ、わかった」

 ミモリは陛下の父の弟、ルカの叔父の娘だった。サクナはそれを今知った。どおりでルカと親しいわけだと。ふたりは従姉弟同士だった。

 髪の色も瞳も違うのでそれに気づかなかったが、ミモリは補佐官だが王族の人だった。

 王族なのに、何故補佐官などやっているのだろうと、やや疑問に思いつつサクナは業務連絡を訊いていた。

「陛下、留守のことはお任せください、あちらではどうかごゆっくり日頃の疲れを癒すつもりでお過ごし下さい」

「いや、用が済めばすぐ帰る、今回は地方の巡回はしない帰る日程が決まればまた連絡する」

 補佐官までもがそういうと、コスモ国の事はそんなに気にしなくてもいいのかと少し安心する。

 サクナにはまだ、王宮の政はよくわからない。

「まあ、遠慮なさらなくてもよろしいのですよ? 陛下にとって巡回は大切な役目ですから」

 クスっと、ミモリは不敵な笑みをこぼしサクナを見た。何か嫌味を言われたのだろうかとサクナは怪訝にミモリを見る。

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