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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章  ~初めての恋は甘くて切ない味~

「地方の巡回はまた今度の機会にする、そのときはサクナも一緒に来いよ」

「えっ、いいの?」

「ああ、あれから村にも帰ってないだろ? 一度一緒に報告に行かなきゃな」

 サクナはコクっと頷く。
 直接報告はまだしてないが、ルカと婚約したことはすでに伝えている。ルカの思いやりが嬉しかった。

「コホンっ、陛下。報告なら姫様はご一緒でなくてもよろしいかと。今から行かれるのですから」

「それとコレは別だ、それに補佐官が決めることじゃない」

「申し訳ございません出過ぎたマネを」

「補佐官こそ一緒に叔父のもとに帰ればいいのに、レオに頼んでもいいんだぞ」

「いえ、これはわたくしの役目ですから、陛下のお優しい心遣いだけ頂きます」

 ミモリは嬉しそうに笑み、フッと勝ち誇ったようにサクナを見る。イラッとする笑みだった。

 陛下の優しさはサクナだけではないとでも言いたいのだろう。それがわかってしまうからイラッとしても仕方ないのだが。どうもミモリからは挑発されてる気がする。

 
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