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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第6章  ~糖度注意報~


『サク』

 甘く低い声、耳心地の良い愛しい人の声がする。

『愛してるサク』

 これは夢だとわかる。
 大事な言葉は、誓の日まで言わないから。

『私も愛してる』

 そう応えると、蒼い瞳が優しく緩み躯を包み込んでくれる。

『────でもね、サク。本当に愛してるのは』




 ────いや、聴きたくない。

 そこは薄暗い部屋、月あかりが照らしほんのりと明るい。サクナは天蓋の天井を見つめる。

 ────夢、で良かった。
 あんな事訊いたから夢の中のルカまでも私を不安にさせる。

 サクナは、ここ連日ルカとの淫らな夢を見て火照る躯に悩んでいた。会いたい想いが募り夢で求めてしまう。
 
『サク。寂しかったら俺を思い出してひとりで愉しめよ』

 サクナは、あの日の事を夢で見ていた。
 その方法をルカが教えるから、どうすればその火照りを沈めるかわかってしまう。

 だけど、サクナは羞恥がまさりそれを踏みとどめていた。
 
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