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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第7章  ~ご主人様の甘い誘惑~

 森の木々を揺らし初夏を感じる風がサクナの腿に心地よくそよぐ。
 
 風に揺れる腰まで伸びた桜色の髪を耳元で押さえ左手はルカと繋がれている。
 手元で短めのふんわりとしたスカートがヒラヒラと手の甲をくすぐりながら揺れた。

「暑いな……かなり」

「王宮の人って何気に大変だよね」

「…………あぁ、ほんと大変」

 と、ルカは悩ましげな表情でどこか色っぽいため息をつく。

 その時────

 ルカとケイルはある一点を見る。

 その視線の先からトカゲタイプのヴァミンが三人に向かい突進してきた。

 ルカはサクナの腹に腕を回しグッと引っ張るように後ろに跳躍しながら飛ぶ。

『凍れ 氷結!』

 ルカの力ある言葉に全長五メートルほどのヴァミンは地よりメキメキと音をたて凍りついてゆく。

 あたりにひんやりとした風がそよぎ、無空間より取りだした星剣を構えケイルはヴァミンに斬りかかる。

 ガラスの割れる音をたて。砕け散る氷とともにヴァミンは黒い霧と消えてゆく。

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