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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第7章  ~ご主人様の甘い誘惑~

 先程のお酒と違い『美味い』と感じる。

 サクナはグラスを傾け遠慮なく喉に通した。
 五臓六腑に染み渡る芳醇な香りがお気に召したようだ。

 次第に訪れる微熱を帯びた躯に、ほわほわと頭が心地よく、初めて味わう気分に少しサクナは陽気になってくる。


「サク。顔真っ赤だよ? だいじょうぶ?」

「うん……」

「…………もう、やめとけ。お前完全に酔ってるだろ」

 陽気な心地よさに心配性のルカとケイルが水をさすように嗜める。

「…………酔ってないもん」

 いつも子供扱いするふたりに少し不貞腐れながら、サクナは子供じみた言い方をしカウチソファに背中をもたれた。

 微熱は全身の血流をかけ巡りいつの間にやら躯を火照らすほどに。

「顔アツいだろ? だいじょうぶか?」

 ルカは両手をサクナの頬にあてる。
 その手は何故かひんやりとして気持ちよかった。

「気持ちいい……ルカ」

「うん、そういう声は兄様の前で出したらダメ」

「…………?」

 サクナはとろりとした瞳でルカを見た。
 何か怒られた気がするが頭がよく回らない。

 ただ、触れられた手が心地よく。
 それと同時に一緒にいられないことが途端寂しくなる。遠征に行くわけでもないのに明日になれば、また会えるのに。

 そうおもえばおもうほど寂しさが募る。

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