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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第8章  ~天使の微笑みは淫らに咲く~

「殿下。国を守り星を守る、王族とはそうでなくてはならない、そうであって当然なのです」

 笑顔すら見せないルカに隣にいた宰相はたしなめるように言う。 

 親子三代にわたり宰相としてリキマシア国に仕えるヴェロニッカ。

 彼は先代陛下ルカの祖父の弟で信頼のおける者。
 そのヴェロニッカの瞳にも哀しみの色はない。

「わかってる…………」

 ルカはその場から離れるように高台の奥へ足を運ぶ。

 星に帰り、星に生まれる。

 何事もなかったかのように、それが当然の事のように。

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