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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第8章 ~天使の微笑みは淫らに咲く~

八年前。
一年で最も早く日の沈む季節、なびく風が寒く心も冷えてしまうようだった。
告別式の後、高台の祈りの祭壇にて前陛下を見送った。
「幼くして賢王と名高い殿下に国の民も期待していましょう、リキマシア国のために今後とも宜しくお願いします」
年端もいかぬ少年の前で頭を垂れ、媚をヘつらう。彼らはルカではなくその背後にあるものを見ていた。
国王としてリキマシアを背負うことに不安があるわけではない。
幼き頃から殿下として父親の姿を側で見てきた。
だだ、父親の告別式も終わったばかりというのにヘラヘラとおべっかを使う者に不満が募る。
────それでも父上の愛した臣たち。

