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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章  ~夜宴は月夜の下で~


「単純なことだよ俺はサクの心が欲しいから」

「それはもう手に入れたんだろ、隠すことなのか?」

「隠しているわけでもない。それとなく言ってるけど、アイツ全然気づかないし」

「一言いえば済む問題じゃないか、運命がどうとかという事と関係あるのか?」


 定め、そうなる事が決まっている事。

 きっと、あの時サクナに出会わなくてもルカはサクナに惹かれただろう。

 年頃の娘となったサクナは、春を思わす香りがより強くなった。甘く優しいほんわかとした香りはルカを癒やしてくれる。

 惹き寄せられる事が当然のようにサクナを求めたかも知れない。

 ずっと心に思い描いてきた大切な想い出が、決められた道だとおもうと悔しくもある。

 ルカがサクナを好きになったのはその愛らしさと人柄。

 
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