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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章  ~夜宴は月夜の下で~


「陛下は罪な人ですね、祈り姫として彼女を欲しているのに、その心は初恋の方に…………」

 補佐官の眼はどこか遠くを見る。
 何が目的なのか、それを言って何を自分に言わせたいのか。

「でも、仕方ありませんわよね。心は誰にも縛られませんから」

 愛のない結婚だと言わせたいとしか考えられない。

 不覚にもこの時、その事で気づけなかった。

 瞬間、ルカは身を止める。鼻をかすめる花の香りがしてくる。ルカが好きな香りだ。

 ルカは上半身裸で執務室には補佐官と二人。


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