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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第10章 ~暗闇の誘惑~
馬車内には魔石光で作られたランタン灯が照らされていて、そこそこ明るい。
サクナはルカの隣に座りケイルは対面に座った。
「何から話せばいいか、色々黙っててごめん」
「ううん、私のためだったんでしょ?」
「…………うん、だけどそのせいで…………」
サクナはルカとミモリのやり取りを訊きながら何となくだが理解した。
貴族やミモリたちがサクナを苛むのは、ルカ自身がそれを肯定していなかったから。
でも、それは理由があってのこと。
「補佐官はともかく、貴族の人たちは私が気に入らなかったのだからそれだけのせいでもないよ。それが無くても他の事でとやかく言ってきたと思う」
「補佐官の事は正直今もわからない。それだけの事とは思えない」
「補佐官はルカのことが好きだからじゃないの?」
「いや、本人も言っていた。そうじゃないって、それにそれは俺も感じていた事だし」
サクナはそれが一番不思議だった。
ミモリは、ルカの事が好きだと思っていたから、だから自分を認めたくないのだと。