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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第10章 ~暗闇の誘惑~
「そう? ルカは広いほうだと思うけど?」
「…………わかってないし。サク、気をつけろよ。ヴィストはしばらく王宮にいるから」
「気をつける? ヴィストーター様は危険な人なの?」
悪い人ではなさそうだけど、ルカはヴィストーターの事が気に食わない様子だった。
補佐官の監視役に選ぶくらいだから信用している人物だと思うだけにルカが機嫌が悪くなる理由がわからない。
気をつけろと言われても何に気をつけるのか、彼は危害を加えるつもりなのだろうか。
「ああ、危険人物だ。アイツは俺の婚約者だからと言って遠慮する奴じゃない」
「悪い人には見えないけど」
「…………悪気がないから困るんだ」
ルカがそこまで言うならそうなのだろうとサクナは納得する。良い人に見えてもサクナは疎まれる事が多い。ヴィストーターもそういう人なのかも知れない。