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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第10章 ~暗闇の誘惑~

ルカは無言のまま歩き続け会場から離れてゆく。
公式行事については執事長から色々教えてもらった。陛下と談話するのを楽しみにしてる人も多いと、色んな人と話すことも陛下の役目だと訊いていた。
「ルカ会場から離れていいの?」
「ああ、今日の主役はアイツだからな。別に俺が居なくても構わない」
次第に辺りは暗く月光が二人を照らし、きらびやかな世界が一転して静けさが訪れる。
「どこに行くの?」
「温室、サク行ったことないだろ」
ルカの歩く歩調もゆっくりとなり、声も落ち着いていた。
「サク、顔を赤くしてアイツのこと見てた。俺以外にあんな顔見せるな」
「え……?」
「お前は無駄に可愛いから困る。これから、ああいう事があると思うとやるせない」
「なんの話?」
「ヴィストの言った通りのことだよ、俺は寛容が狹いってこと」

