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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第11章  ~ 落花流水の情~
 

 しばらく歩くと仄かな明かりが見えてくる。


 そこはガラス張りの建物で中の様子がほんのりと見えた。温室に行くとルカは言っていたから、そこは温室なのだろうとわかる。


「……凄い」

「綺麗だろ? サクに見せたかったんだ。あまり外に連れ出してやれないからな。たまには良いだろこういうのも」

 パーティ会場がきらびやかな世界としたら、この温室は幻想的と言える。

 城庭も見事なものだったが、ここはまるで森の中に迷い込んだかのよう。

 自然豊かなリキマシア国、その造られた空間とはいえ色鮮やかに咲き誇る花はリキマシア国らしいとも思える。

 温室の中は月明かりと、魔石光の仄かな灯がより幻想的に見せた。

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