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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章  ~始まりの森~
 

 そう思った時、躯が何者かに引っ張られ手に持つ大剣を奪われた。

 その者は片手で大剣を振りかざし迫りくるヴァミンの口を真っ二つに斬り裂く。

 そして、その後ろから現れたもう一人の男性がヴァミンの首を斬り落としヴァミンは黒い霧となり消え去った。


 サクナを抱えた男性は星剣を地に差し、両腕でサクナの肩を掴みジッと見据えた。

「ルカ様、ありがとございます」

「何が、ありがとうだ」

 ルカはサクナの両頬を引っ張り、怒った表情を見せる。

「ひ、ひたい……りゅかさま」

 ルカは嘆息を洩らしサクナをジッと見据える。
 寄せていた眉根を緩め、今度は心配そうな目つきにと変わる。


「何で、ひとりで森に入った」

「そ、それは…………」

「どうせ、貴族の娘に騙されたんだろ」

 彼女の後ろより冷やかな声で言うケイル。
 サクナはかぶりを振り「違う」と言った。

「じゃあ、何で約束破った。事の次第じゃ許さないぞ?」

「たまには…………身体を動かそうと思って、ルカ様も兄様も忙しそうだったから」


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