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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章  ~始まりの森~

「ふーん、サクはそんなにカラダが訛っているのか……俺が、激しい運動させてやろうか?」

「な、何……やめてよ。兄様前で!」

 サクナはそれが何を意味してるか知っているため慌てふためく。

「ヤラシ……サク。何想像したの?」

 今度は耳元でボソッとルカは呟く。
 サクナは顔を沸騰させ茹でだこのように赤くした。

「……なぁ、サク。そんなに俺と一緒になるのがイヤなのか?」

 狼狽するサクナに、ルカは真剣な眼差しを向け聞いてくる。
 

 嫌なわけじゃない。
 イヤじゃないから……困ってしまう。

 サクナは王都より離れた小さな村の娘だった。

 祈り姫として城に仕えたのはつい先月のこと。
 十六歳になり母と代わり国を護る祈り姫となった。

 謁見の間にて、リキマシア国王であるルカと出逢ったのはその時だ。

 祈り姫であるサクナは、ケイルとルカの護衛の元毎朝、森の高台で祈りを捧げる。
 身分の隔たりなど気にしない陛下は、人懐こい性格をしていて、サクナは誰よりも陛下と近い存在になった。

 それが令嬢たちの逆鱗に触れてしまった。

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