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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第14章  ~それぞれの幸せのかたち~


 ルカはそのままサクナを抱き上げ湯船に浸かる。

 躯についたオイルを落とすようにルカはサクナの躯のさする。


「熱い……」

「のぼせそう?」

「少し……」


 源泉と湧き水を引いた温水は、冬には体躯の芯から温まる程よい湯加減。

 今の季節は夏。
 そして、火照った体躯にはやや熱い。


 ルカはサクナの体躯を反転させ、背後から腕を伸ばし抱きしめるようにしてサクナの左手をとった。



「サク、ちょっと借りるよ?」

 何を? そう思った刹那────


 辺りにヒンヤリとした空気が流れ出す。


「…………」


 
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