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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
事実、ヴァミンは現れたわけで、サクナもそうなのかもしれないと少し思い始めてきた。
体内が熱いのは術を使ったからだが、それにしてもやけに熱く感じる。
「ルカがいないと数でこられるとこっちが不利だな。サクナ、傍を離れるなよ」
ケイルは星剣を無空間に戻しながら言った。
何度かヴァミンと遭遇しながらも森の高台につき祭壇にて祈りを終えケイルのもとに戻る。
「…………」
「ん? どうした?」
サクナは腹部を押さえながらケイルを見た。
「なんかダルいかも」
「腹が痛いのか?」
「え……あ、これは別に…………」
術も、祈りも、体内エネルギーを使う。
躯の気脈が上昇しやけに熱くなる。
どういう理屈かは知らないが下腹部が疼く…………などと兄に言えるわけもなく、 サクナは少し慌てるもなんでもないっと首を振る。
邪気を祓う古代術は普通の術よりエネルギーの消費が多い。熱により体力を少なからず消耗することもあるが、それにしてはいつもより躯が重く感じた。
────やはり体調が悪いのだろうか?
ルカやケイルが心配しなければ、気づかなかった程度のほんの僅かな違い。