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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
後宮の敷地は王宮に継ぐ広い敷地にあった。
「馬車で来るべきだったな、サクナ疲れてないか?」
「ううん、平気」
遠くに後宮が見えるものの、門までたどり着くのに随分と歩いた。
等間隔に植えられた木々が連なる煉瓦道、その周りには城園にも劣ることのない見事な美しい花が植えられていた。
サクナはその風景を見ながら徐々に舞踏会への緊張が高まってきた。
サクナは既に社交界デビューをしててもおかしくない歳。祈り姫であるサクナが陛下の婚約者にならなければその必要もなかったのだが。
「サクナ……ルカのことだが」
沈黙を破るようにケイルがぼそりと話し出した。
「俺がいう事じゃないかもしれないが……アイツが心配症なのは、多分両親とも自分より先に星に帰ってるからだと思う」
サクナはハッと気づく。
ルカが過保護になるのはそういう理由があるからかもしれない。
サクナ自身、健康体が取り柄なだけにルカがそのような不安を抱いていたとは想いもしなかった。