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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
「もともと世話好きな性格なんだろうが……アイツは失うことに恐れすぎてる。それほどお前のことが大事なんだろうけどな」
ルカは信念も強いが弱い自分も認めてる。
そう、ケイルは言った。
「お前は脆そうで意外に図太いからな……余計心配になるんだろ」
もっとほかの言い方もあるのではと、サクナは思った。
「でも、本当に無理してるわけじゃないよ?」
「…………これ以上の事は本当に俺がいう事じゃないから言わないが、無茶だけはするなよ。何も病気だけが心配事な訳じゃないから」
サクナは「うん」と、返事をする。
「兄様は、ルカのことが好きなんだね」
「ん……ま、嫌いではない」
そう即答した兄に、サクナはフッと笑う。
ケイルとルカの間に大きな絆を感じた。
役目の為なら私情を挟まない冷静な兄、でもルカの傍にいるのはそれだけじゃないとサクナは思った。
他人を気にしない性分のケイル、けどその性格はサクナの知っていた兄とは少し違う。そう兄を変えたのはルカなんだろうと。
痛みを知ってるからこそ人に優しくできる。