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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)


「それじゃルカはやっぱり諸国の王を招待しないの?」

「いや、そうじゃない。王の相手は俺がすればいい。本当に平和を望むのか、それとも何か企てがあるのか見極めないとな」

 だからこそ、ルカはサクナに伝えたのだと。
 何もなければそれでいい、だけど、何かあった時にサクナ自身が無茶をしないために。

「挙式にはセシュルドもくる。サクの傍には信頼のおける護衛をつけることもできる」

「あ……そっか。父様も母様もくるんだ」

「ジュリアンは、明日来るよ。さっきケイルに連れてきてもらうように頼んだから」

「あ……そうなの!」

「ああ、流石にヴァミンが出没する場所にお前を行かせるわけには行かないからな」

 サクナはパァーと顔が和らいだ。
 祈り姫のである、サクナと母は殆ど一緒に過ごしたことがない。

 物心がついた時には既に母は王宮で過ごしていた。サクナが祈り姫となってからは入れ替わりで母は村に帰った。



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