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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章  誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)


「そうですか……いらぬ心配で良かったです。それほど陛下は姫様を大事にされてるからなのでしょう」


 後宮に側室が居た時代、王妃になれるものは最初に陛下の嫡子を身篭ったものだとサクナも執事長の講義で教えてもらった。

 後宮や舞踏会では陛下の気を引くため女の争いが頻繁にあった。御子を授かり王妃となった後も貴族たちは自分の地位を得るために陛下に側室を推薦していたそうだ。

 側室でも陛下の子を宿せば家は繁栄する。
 女性にとっても名誉なことである。

 ユイナが言うには、ルカは側室を取るつもりが無いのは、もう皆が知っていると。

 だから、友好的に接した方が陛下の温情を受けやすいと打算するものも多い。


 直系の王族の者に手を出した罪は重い。
 爵位の脱略、領地の没収など場合によってはその家の者まで罪に囚われる。

 補佐官の母が謝罪に来たのもそこにある。

 例外は、陛下の温情のみ。

 サクナはまだ正式には王族のものではない。
 しかし、陛下が執心している姫に手を出せば、どうなるかは目に見えてわかるだろう。


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