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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第17章 ~久しぶりの再開、そして~
「失礼します」
程なくしてユイナと数名の侍女が無花果の間を訪れた。侍女たちが朝食の片付けをする中ユイナはサクナに話しかける。
「姫様、執事長より調理場の使用許可を頂いて参りました。宜しければ御案内致しますが」
「調理場? お前何か作るのか?」
「うん、ルカの誕生日にお菓子贈ろうと思って、久しぶりだから少し試作を」
ルカには秘密にユイナに頼んでいた。
当日まで内緒にしたいサクナの乙女心だった。
「ああ、なるほど……そういう事か」
「あら、いいわね。お母さんも何か作ろうかな」
母の作るお菓子は絶品だ。
ジュリアンが村に帰っては母とお菓子を一緒によく作っていた。
王宮では調理することはない、ぶっつけ本番で挑むほど自信もなくこっそり練習をすることにした。
ユイナの案内のもと、三人は調理場へ向かう。
「こちらをお使いください。何か他に必要なものが御座いましたら申してください」
後宮の侍女たちの食事を作る調理人たちがせわしなく働くなか、サクナたちは邪魔にならないように隅の方で作業をする。