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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第18章 ~混迷~
「サクっ!」
無花果の間に、サクナを呼ぶ声が響きわたる。
瞬きをする間もなく、サクナの目の前に銀色に輝く大剣がミモリの首元に光った。
「……だから、時間がないと言ったのに……」
全てが、終わったかのように強気だったミモリはその場に力をなくししゃがみ込んだ。
その後ろにはケイルが星剣を突きつけていた。
「ジュリアン。ユイナと一緒に食堂に行ってくれ」
ふたりは直ぐに了解し無花果の間を出てゆく。
「ごめん、サク……遅くなった」
「ルカ……」
「先にヴィストを治癒してくれるか」
安堵からか、サクナも張り詰めた力が抜けてしまう。クッと、泣きそうになる気持ちを抑え、ヴィストーターに治癒術をかける。