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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第19章 ~歪んだ愛慕、愛執は星を狂わす~
「お前の目的は最初からサクだったのか」
「……違います」
「違う? なら、何故こんな事をする」
ミモリは俯いたまま口を閉ざした。
「言うつもりはないか……」
彼女は決意が強かった。
その事が失敗に終わった時の覚悟も既にしているかのようだった。
助けを請うようにその全貌を語るつもりはないらしい。
しかし、それこそ身勝手ではないだろうか。
そこまでの罪の意識がありながら、何故彼女はこんな大事件を起こしたのか。
「素直に話せ……お前は叔父殿も巻き添えにして罪を負うつもりか?」
ミモリは顔を上げ瞳を僅かに滲ませ表情が変えた。
「……父は関係ありません。全て自分がした事です……陛下は、父を許して下さるのですか……?」
「お前が素直に話せば考えてやらなくもない。だが、このままだと他の者たちはそれを許さないだろう」
どんなに娘が父親は関係ないと言った所で、その疑いの眼差しは向けられる。王宮とはそういう輩ばかり存在する。
他人を蹴落とし自分が高い地位を得るために。