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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章  ~始まりの森~


「…………ルカ、取り敢えずサクナを連れて帰れ。また、ヴァミンが出たら困るからな」

 ルカに躯を起こされサクナは地にささる大剣に手を触れ無空間に戻す。

 その時────

 後ろからルカは脚をパンパンと触る。
 

「っ! や、なにするの!?」

「土、払っただけだ」

 パッパっとふんわりとしたスカートにも触れ土埃を払う。

「…………陛下のすることじゃないよ」

「別にいいだろ、俺が何しても」

「そうやってすぐ子供扱いする…………」

「大人の扱いしたらサクは怒るじゃないか」

 サクナはふーとため息をつく。

「それは誰でも怒ると思うよ」

「サクの苦手な令嬢たちはそれを望んでるみたいだけど?」

「…………それなら、その娘を娶れば問題解決じゃない」


 幼くしてリキマシア国王となったルカに王妃を望む声は日にまして大きくなる。
 陛下が女性に興味がないと、民までもが心配し出すほど。その噂は小さな村にまで届くほどだった。

  ────そんなことしないってわかってるから言えるんだ。本当はそんな事望んでないのに。

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